ウクライナ日曜学校「ホロバチョック」で「リズドヴャーヌィ・パヴーク(クリスマス・スパイダー)」をテーマにしたワークショップ開催

2022/1/10

1月9日ウクライナ日曜学校「ホロバチョック」で「自作のリズドヴャーヌィ・パヴーク(クリスマス・スパイダー)」をテーマにしたワークショップが行われました。参加者(子どもたちと大人)は生まれて初めて、ウクライナの伝統的なお正月とクリスマス飾り「クリスマス・スパイダー」作りに挑戦しました。
「パヴーク(スパイダー)」の構造とデザインは各参加者が好きなように考案しましたが、伝統的な規範を外れることなく、先祖代々伝わるルールに従い(「パヴーク」用の特別な種類のわらを使用)、天然素材のみで作品を仕上げました。天然素材にこだわった「パヴーク」の装飾も、すべて軽量なものが揃い、いずれも創意工夫に富んだ作品が完成しました。

このクリスマスの装飾品に「パヴーク」という名前が付いたのは、キエフ・ルーシ(現在のウクライナ)がキリスト教を受容する前のことでした。家に吊り下げられた「パヴーク」は、ちょっとした空気の動きでまるで生き物のように回りはじめたり、左右に揺れ動いたりします。
キエフ・ルーシの洗礼後は、「パヴーク」はクリスマスの装飾品としてだけでなく、家の調和と繁栄の象徴として、また、家のお守りとしてウクライナの文化に定着しました。

スパイダー(蜘蛛)にまつわるキリスト教に関連した伝説がいくつかあります。そのうちのひとつによると、スパイダーは、生まれたてのイエス・キリストを抱えた聖母マリアがヘロデ大王の兵士から隠れていた洞窟の入り口に巣を作りました。兵士はスパイダーの巣を見て、長いこと洞窟に誰も出入りしていないだろうと思って通り過ぎ、聖母マリアと赤ちゃんの命が救われました。他の伝説によると、スパイダーはクモの糸で服を作り、小さいイエス・キリストに贈りました。そのため、スパイダーは善と調和を象徴する生き物と見なされています。

前世紀の戦前の頃、ウクライナ西部ではほとんどの家に「パヴーク」が飾られており、東部、南部と北部地域においても、多くの民家で見られました。現在、この伝統が復活しつつあり、「クリスマスの生き物」作りに挑戦する小さいウクライナ人が年々増えています。

「パヴーク」の優れたデザイン性は高く評価され、現代のわらの花瓶、ペンダント(ナイト・ライト)、吊り下げ椅子や雑誌テーブルなど世界的に有名なインテリア・ブランド品に生き続けています。